TOPへ

鼻の奥が痛い(頭痛を伴う)
対処法

鼻が痛い、頬の奥が痛い原因と
治療法

鼻が痛い、頬の奥が痛い原因と治療法鼻は、内部が空洞状になっています。これを鼻腔といいます。鼻腔の皮膚表面は粘膜に覆われています。
また、鼻の周りには副鼻腔という空洞が数か所あって、これらの空洞はすべて鼻と細い通路で通じています。副鼻腔の内部もまた粘膜で覆われています。
鼻の奥や眼の下の頬骨の奥あたり、おでこの裏が痛む理由としては、この鼻腔の奥や副鼻腔に炎症が生じたり、腫れ物ができたりしている可能性があります。
こうした症状の元となる主な疾患を以下に挙げておきます。

1.急性鼻炎

ポピュラーなものとしては、急性鼻炎でも鼻の奥や頬骨の奥側、おでこの裏に痛みを感じることがあります。
急性鼻炎はいわゆる鼻風邪でウイルスや細菌による感染、アレルギーなどで鼻の奥の粘膜が炎症をおこした状態です。
鼻水やくしゃみといった症状のほか、炎症による痛みを感じることもあります。
さらに、副鼻腔という頬骨の奥側などにある空間は、本来鼻腔と繋がっているのですが、炎症によって粘膜が腫れてしまうと、繋がっているパイプの部分が塞がってしまい、鼻の奥や頬骨の奥が痛む場合があります。

治療法

鼻風邪の原因は細菌性のものもありますが、80~90%はライノウイルスやアデノウイルス、コロナウイルス(新型コロナウイルスとは別のものです)など、ウイルスによるものだと言われています。
そのため、抗菌剤が効きませんので、炎症を軽減する薬など、対症療法的な薬物療法を行います。
通常は5~7日程度で治りますが、あまり長引くような場合は、細菌感染も考えられますので、抗菌剤を処方することもあります。

2.急性副鼻腔炎・
慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎・慢性副鼻腔炎鼻の奥や頬骨の奥、おでこの裏が痛くなるような病状で、一番考えやすいのは、急性の副鼻腔炎か慢性の副鼻腔炎が急激に悪化したような状態です。
とくに副鼻腔炎で炎症がおこりやすいのが顔の中に数か所存在する副鼻腔のうちでも、上顎の上にある上顎洞という部分で、ここが炎症をおこすと鼻の奥や頬骨の下が痛いという症状がでます。
上顎洞の炎症が進行すると、さらに他の空洞にも拡がり、頭痛や鼻が詰まる、膿のまざったような黄色い鼻汁がでる、などの症状がおこり、発熱することもあります。
特におでこの裏にある前頭洞は鼻の中とつながる道が元々狭くて砂時計のような形をしています。
したがって少しの炎症や気圧の変化でも圧の変化について行けずに痛みが起こりやすい部位です。またこの前頭洞の炎症が高度になると、その裏にある頭蓋内に炎症が及ぶこともあります。

あまりに炎症がすすむと、稀にですが、眼や脳に炎症が及んで、そのための全身症状をおこすこともあります。

治療法

症状によって、治療方法は異なります。あまり症状が強くない場合は経過観察で自然に治癒することもあります。
しかし、急激に悪化してきたケースなどでは、最悪頭蓋内に合併症をおこしたり、眼窩内で合併症をおこしたりする可能性があり、慎重に治療を行う必要があります。
抗菌剤や消炎剤などを投与し、炎症を鎮めることを検討します。
また合併症をおこしてしまっている場合は、緊急手術が必要になることもあります。
放置して悪化させてしまわないように専門医の診断をきちんとうけましょう。

副鼻腔炎詳しくは

3.副鼻腔の圧迫感

副鼻腔はすべて鼻の内部とつながっていますが、通路は一般的に狭い作りになっていますので、ちょっとした炎症などで、すぐに塞がってしまいます。人によっては副鼻腔が大きく通路が人よりさらに狭い作りになっている場合があります。こうしたタイプの人は、飛行機の離着陸時やスキューバ・ダイビングなどによる気圧の変化で頬の奥が傷んだり、頭痛がおこしたりすることがあります。通常は気圧の変化がおさまると、自然に痛みは消えてしまいます。

治療法

一般的には、痛みのおこるさいに鎮痛剤を服用しながら、経過観察となります。
ただしなんども繰り返すようなケースでは、手術によって副鼻腔と鼻腔の間の通路を拡げることを検討します。
手術は内視鏡を使って状態を観察しながら行います。

4.アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎

真菌というのはカビのことです。カビが副鼻腔内に入り込むと炎症をおこすこともありますが、カビに対するアレルギーがある人の場合、アレルギー反応によって炎症をおこし、また鼻茸と呼ばれる鼻のポリープもできます。
カビは副鼻腔内で繁殖しますので、アレルゲンが絶えず供給されることになり、根治の難しい疾患とされています。
症状としては、鼻づまり、嗅覚の異常のほかに顔面痛をおこします。鼻茸などの症状が、難病指定されている好酸球性副鼻腔炎とよく似ており、好酸球性副鼻腔炎の類縁疾患でもありますが、片側性にも起こりえるのがこの疾患の特徴です。

治療法

内視鏡下副鼻腔手術によって、好酸球性かアレルギー性真菌性かを判別します。
ただし、手術を行っても再発することが多く、根治は大変難しい疾患ですが、外科的療法と併行してステロイド剤の投与を行うこともあります。
手術後も長期的に通院して経過観察が必要となります。

5.真菌

真菌(カビ)が原因となるところはアレルギー性真菌性副鼻腔炎と同じですが、この場合はカビが直接炎症を引き起こしている状態です。
多くのケースでは、カビが副鼻腔の中だけで感染する非浸潤(しんじゅん)性のものですが、まれに副鼻腔の周辺の組織から、最悪の場合全身にまで感染する浸潤性の副鼻腔真菌症をおこすこともあります。
非浸潤性のケースでは、カビは副鼻腔の中で塊(真菌塊)をつくり鼻との通路を塞いでしまいます。
浸潤性のケースは体の抵抗力が下がってしまっているときなどに発症し、強い頭痛や視力障害などをおこすこともあります。
治療が遅れると生命に危険がある場合もありますので、こうした症状とともに、黒い鼻汁などが出たらすぐに病院を受診してください。

治療法

非浸潤性の場合は、手術で真菌塊を取り除くことによって、完治することができます。手術は内視鏡で観察しながら行う内視鏡下腹鼻腔手術です。
一方、浸潤性の場合は抗真菌剤を長期間投与しながら、手術で真菌に感染している部分を除去することもあります。

6.腫瘍(良性・悪性)

鼻の中や副鼻腔に腫瘍ができることによって、炎症をおこし、鼻の奥や頬の奥が痛むことがあります。
良性のものも悪性のものもありますが、悪性の場合、炎症をおこしやすく、鼻づまりや鼻や頬の痛みが続きます。
これらの症状に困って耳鼻咽喉科にかかり、検査をしたら上顎にがんが発見されたということもあります。
こうした症状に加え、鼻血が出やすいなどお困りのことがありましたら、一度耳鼻咽喉科を受診してください。

治療法

良性の場合も悪性の場合も手術で腫瘍全体を摘出します。
生検などを行って悪性のものと特定された場合には、その後放射線治療や抗がん剤治療を行うこともあります。

7.鼻粘膜接触点頭痛

鼻の粘膜が、鼻の穴を中央で左右に仕切っている壁(鼻中隔=びちゅうかく)に接触していることでおこる眼の周りや鼻の奥が痛む頭痛です。
立っているときと寝ているときで痛みの状況がかわることが特徴で、これは重力によってうっ血の状態が変化することによるものです。
診断にはいくつかの基準がありますが、もっともわかりやすいのは、検査のために鼻の中に局所麻酔をすることで、すぐに痛みが止まる場合、この鼻粘膜接触点頭痛の可能性が高くなります。と判断がつきます。

治療法

手術によって鼻の粘膜と鼻中隔が接触しないようにします。一般的にはこの手術で完治し、再発もしません。

8.虫歯、歯周病

虫歯や歯周病などによって、周辺まで炎症をおこすことがあります。とくに上奥歯は歯根部が上顎付近にある副鼻腔に近いこともあり、虫歯や歯周病の炎症が拡がって副鼻腔に炎症が拡がるケースが多いのです。

治療法

まずは歯科で適切な治療を受けることが大切です。根治が難しい場合は抜歯を検討することもあります。
ただし、歯の治療が終了しても、ある程度以上に副鼻腔炎が進行していれば副鼻腔炎の手術も必要になる場合もあります。

9.風邪

風邪にかかると、鼻の粘膜も弱くなり、熱や咳、だるさなど風邪の諸症状の他に、ちょっとした刺激によって、弱まった鼻の粘膜が刺激をうけ、鼻の奥に痛みを感じる場合があります。

治療法

風邪の原因は、ほとんどがウイルスによる感染です。そのため対症療法として抗炎症薬などの内服が中心になります。
また細菌感染が疑われるときは、抗菌薬を処方することもあります。
風邪で一番大切なのは、しっかり休んで栄養補給や水分補給をこころがけることです。

10.単純ヘルペス感染症

ヘルペスウイルスに感染すると、口角、口内、唇、鼻、目、性器などが最初はむずむずと痒みをもち、数日すると痛みをともなう小さな水ぶくれ(水疱)ができます。鼻にできるケースでは外周だけではなく鼻の内部にまで水ぶくれができます。
水ぶくれにはウイルスが存在しますので、搔いてつぶしたりすることは論外ですが、できるだけ触らないように気をつけ、また家庭内ではタオルを別にするなど、他の人に移さない注意が大切です。

治療法

ヘルペスウイルスには抗ウイルス剤があり、有効な治療が可能です。
ただし、ウイルスは一度体内に入ると、神経の奥深いところなどに隠れて体内からなくなることはありません。
体力や免疫力がさがると隠れていたウイルスがあらわれ再発しますので、あまり体力を低下させないよう、しっかりと休養をとることも大切です。

鼻の痛みの種類と対処方法

つぎのような症状を感じたら、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

鼻の奥がツーンとする・痛い

鼻の奥がツーンとする・痛い鼻の奥がツーンと痛いようなケースでは、強い炎症がおこっている可能性があります。
こうした症状があるときに鼻をかむのは逆効果で、炎症を刺激してしまう可能性もあります。
寒い季節やエアコンの使用などで空気が乾燥する季節には、外出のさいはマスクを使用し、部屋は加湿器などで湿度を保つことによって、鼻の粘膜が乾燥によって刺激されることを抑えましょう。
また、生理食塩水による鼻うがいも有効です。生理食塩水は水1リットルに対して食塩9グラムの比率で作り、人肌程度に温めて使用するのが特に効果的です。

鼻の内側が痛い

鼻の内側が痛むような場合も、鼻の粘膜が炎症をおこしている可能性があります。
気持が悪いからといって、触ったり鼻をかんだりしないように注意して、耳鼻咽喉科を受診してください。
炎症の程度によっては抗菌剤を使用する場合もあります。

鼻の横を押すと痛い

鼻の脇を指で押したときに痛みを感じ、頬の奥側も痛み、鼻づまり、鼻水、鼻水が喉に流れ込んでくる、臭いがわからないなどの症状があったら、急性の副鼻腔炎の可能性があります。
この場合もすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。放置すると慢性化する可能性があります。

このほかにも、鼻の内部や、鼻と繋がっている顔のさまざまな部分の痛みをおこす原因はさまざまです。
当院では、こうした鼻の痛みに関するお悩みを解決するため、さまざまなご相談に対応しております。いつでもお気軽にお声がけください。

鼻の奥が痛みに関するQ&A

鼻の奥が痛い原因は何ですか?

鼻の奥が痛む原因はさまざまですが、一般的に以下のような要因が考えられます。

  1. 鼻の粘膜の炎症(鼻炎)
  2. アレルギー反応
  3. 上気道感染症(風邪やインフルエンザ)
  4. 副鼻腔炎(副鼻腔の炎症)
  5. 鼻・副鼻腔腫瘍などが挙げられます。

症状が続く場合は、専門医に相談することをおすすめします。

鼻の奥が痛いとき、自分で対処する方法はありますか?

一時的な鼻の奥の痛みに対しては、以下の方法が役立つことがあります。

  1. 休息と十分な水分摂取
  2. 加湿器を使用する
  3. 温かいシャワーを浴びる
  4. 喉の痛みに効果のある塩水を使ったうがいをする
  5. 市販の鼻スプレーを使用する。

ただし、症状が重症化する場合や長期間続く場合は、医師に相談してください。

鼻の奥の痛みが慢性化しているような気がします。何科を受診すればいいですか?

鼻の奥の痛みが慢性化している場合は、耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
耳鼻咽喉科医は、鼻や副鼻腔に関する専門的な知識を持っており、適切な診断と治療を行うことができます。

鼻の奥の痛みと一緒に、頭痛や発熱が出ています。これは何の症状なのでしょうか?

鼻の奥の痛みと一緒に頭痛や発熱が出る場合は、上気道感染症(風邪やインフルエンザ)や副鼻腔炎の可能性があります。これらの症状が続く場合は、早めに医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

鼻の奥の痛みを予防する方法はありますか?

鼻の奥の痛みを予防するためには、以下のような対策が有効です。

  1. アレルギー対策を行う(アレルギー原因物質を避ける、市販の抗アレルギー薬を使用するなど)
  2. 常に手洗いやうがいを徹底する
  3. 加湿器を使って部屋の湿度を保つ
  4. タバコの煙を避ける。

定期的な健康チェックや予防接種も忘れずに行いましょう。

監修医師

医院名 医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック
院長名 川村繁樹
資格 医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医
川村繁樹