いびき・睡眠時無呼吸症候群の
手術について
鼻の形態異常に対する手術
アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎など による高度の鼻閉に対して鼻中隔矯正術および粘膜下下甲介骨切除術や鼻粘膜焼灼術および鼻内後鼻神経凍結術などを行います。
また、鼻詰まりのためにCPAPの装着が困難な場合にもこれらの手術で鼻腔の形態を改善します。
詳しくは下記リンクをご参照ください。
扁桃摘出術、
アデノイド切除術
小児の睡眠時無呼吸症候群は口蓋扁桃の肥大、アデノイドの肥大が主な原因となり、これらを摘出することにより高率に症状が改善されます。
小児、あるいは大人でも、扁桃肥大がいびき、無呼吸症候群の原因と考えられる場合は口蓋扁桃摘出術やアデノイド切除術を行います。
扁桃やアデノイドの手術は当院では行えませんので他の病院を紹介します。
LAUP・UPPP
LAUP
LAUPは口蓋垂口蓋形成術の略で、いわゆる「のどちんこ」とその周りの粘膜をレーザーなどを用いて広げる手術です。
人によってはやや術後疼痛があり、効果も個人差があります。いびきに対しては有効な場合もありますが、睡眠時無呼吸症候群にはあまり効果が期待できないと言われています。
当クリニックでも15分ほどの日帰り外来手術で行います。(3割負担で約3万円)
UPPP(Uvulopalatopharyngoplasty、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)
中等度の睡眠時無呼吸症候群が適応となります。口蓋扁桃を摘出、扁桃腺の後方、左右に 広がる粘膜の襞である軟口蓋、その中央部口蓋垂を短縮し、喉の空間を広げる手術です。
有効率は60%と言われています。術後疼痛があり、数日間の入院が必要です。
この手術が適応の場合は他の病院を紹介します。
Q&A
手術をすればどんないびきでも治りますか?
いびきの原因としては
- 鼻が狭い
- のどちんこ(口蓋垂)まわりが狭い
- 舌が大きくて落ち込む
- 下顎(したあご)が小さい
- 肥満
- 飲酒
などいろいろとありますが、どれか単独よりいくつかの原因が重なっていることが多いです。従ってどれか一つを改善するのではなく、原因と考えられるものすべてをできるだけ改善する必要があります。 上記の「1;鼻が狭い」は手術で鼻を広げることは可能です。 詳しくは下記リンクとQ4をご参照ください。
「2:のどちんこまわりが狭い」は手術が可能な場合も困難な場合もあります。(後述します)「3:舌が大きくて落ち込む」と「4:下顎(したあご)が小さい」はほぼ手術が不可能でマウスピースの適応になります。
「5;肥満」と「6:飲酒」はご本人の努力次第です。ちなみに飲酒をすると鼻や喉の粘膜が腫れて狭くなりますし、筋肉が緩むので舌が落ち込みやすくなります。これはアルコールによる一種の薬理作用ですから飲酒によるいびきはお酒を控えてもらうしかありません。
したがって、手術をすればどんないびきや無呼吸でも治るわけではありません。 また簡易型終夜睡眠ポリグラフィー検査(アプノモニター)でいびきがほとんど記録されない場合はごく軽度のいびきですので治療対象にはなりません。
のどちんこまわりの手術はいびきや無呼吸に有効ですか?
のどちんこ(口蓋垂)まわりの手術にはUPPP(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)とLAUP(Laser assisted uvuloplasty )があります。UPPPは口蓋垂を切り、口蓋弓を縫い縮め、口蓋扁桃が大きければ扁桃も摘出します。全身麻酔下手術で1週間程度の入院が必要です。UPPP±扁桃摘出はいびきや無呼吸症候群に有効との報告もありますが、否定的な見解もあります。
LAUPはのどちんこ(口蓋垂)を切除して短くし、軟口蓋の粘膜下を凝固します。無呼吸にはほぼ無効です。のどちんこが大きかったり、長かったりするいびきの場合は有効な場合もありますが、慎重に適応を決める必要があります。
当院ではLAUPは行いますがUPPPは行っておりません。
のどちんこ(口蓋垂)まわりが原因で手術できない場合はどうすればいいの?
のどちんこ(口蓋垂)とその後ろの壁(咽頭後壁)が狭い場合いびきや無呼吸の原因になります。この部分はのどちんこを短くしても広がりませんのでUPPPやLAUPでは改善されません。また必要以上に広げると食べ物が鼻の中へ逆流する可能性もありますので基本的には手術はできません。 このようなときにはナステントが適応になる場合があります。
メーカーホームページ
ナステント™:使用者自身で左右どちらかの鼻に挿入することで、気道を確保するチューブ状の医療機器です。チューブの先端は口蓋垂(のどちんこ付近)にまで到達。挿入されたチューブが寝苦しさ、睡眠中の頻繁な覚醒の原因となる気道の閉塞を防ぎ、呼吸の確保を助けます。
ナステントは左右、かたさ(ソフト・ハード)、長さ(120~145mm)の2X2X6種類の中から医療機関でフィッティングします。基本的には使い捨てでで合ったものを選びます。
ただし左右とも鼻が狭い方、舌の付け根が落ち込むことが原因の方、のどの反射が強い方には合わない場合もあります。
鼻の手術をすればいびきは治りますか?
鼻づまり有するいびきでは鼻づまりを改善させると約30〜50%の確率でいびきが改善するとの報告はありますが、すべての方がよくなるわけではありません。また、全くなくなるわけではなく何割か減少する方が多いようです。
- 鼻の手術で効果が期待できる方は 寝るときに鼻づまりで寝苦しい
- 朝起きると喉がいたくて渇いている
- いびき防止用の口テープ(https://www.kobayashi.co.jp/seihin/nm_tape/など)をすると息が苦しくて眠れない
- 鼻づまり用の点鼻薬を使うと3~4時間は眠れるが、途中で目が覚める
などの鼻づまりがいびきの一因となっている方です。 鼻は活動時より安静時の方が、また座ったり、立ったりしているより横になる方が副交感神経の働きと血流の関係で粘膜が腫れて詰まりやすくなります。
したがって、昼間、座ったり、立ったりしている時でも鼻が詰まる方は、眠るときにはさらに詰まりやすくなるため、手術の適応になるかもしれません。ただし、拝見しなければ判断が困難です。
監修医師
医院名 | 医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック |
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院長名 | 川村繁樹 |
資格 | 医学博士 関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授 身体障害者福祉法第15条指定医 |