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急性中耳炎

急性中耳炎とは

急性中耳炎とは急性中耳炎とは細菌またはウイルスによる中耳(鼓膜の裏にある空間)の炎症です。(図1)
多くの場合、急性中耳炎は風邪などの上気道の炎症の後に発症します。
細菌やウイルスが鼻の奥と耳をつなぐ耳管を経由して中耳に達し、中耳炎を起こします。
多くの方に思われているような水泳や入浴の際に、耳の外側から菌や水が入って急性中耳炎になることはほとんどありません。小児では大人に比べて耳管が短く、太く、傾斜もゆるいために細菌が侵入しやすく、何度もかかることがあります。言葉がしゃべれない年齢では痛みや聞こえにくい等の症状を訴えることが出来ないために、まわりが気がつかない事も少なくありません。

急性中耳炎の症状

中耳に膿がたまると鼓膜は赤く腫れ上がり時には表面に水ぶくれができます。炎症が強いときには発熱も伴います。この時には耳の痛みを訴えますが、言葉を話せない乳幼児では夜中に突然泣き出したり、機嫌が悪くなったりします。急速に膿が増えると鼓膜が破れて耳漏(耳だれ)となります。
中耳炎の痛みの多くは数時間でおさまりますが、痛みがなくなっても中耳炎そのものが完治したわけではなく、中耳に膿が残ると聞こえが悪くなったり、耳がつまる感じが残ったりします。

隆起した鼓膜

鼓膜の水疱

急性中耳炎の症状

急性中耳炎の治療

保存的治療

中耳炎の治療は起因菌に効果のある抗生剤の内服や耳に入れる点耳薬などの薬物療法が主体です。
耳だれがでている時には掃除をして清潔に保つことも重要ですし、鼻汁が多いときには鼻の治療を同時に行う事も必要です。
多くの中耳炎はこれら薬物療法で改善しますが、中耳炎が起こっている鼓室の炎症は長引くことがあります。特に元々鼻が悪く鼻汁がでているようなときには、耳の炎症も長引き滲出性中耳炎に移行することも少なくありません。
また、近年では抗生物質が効きにくい細菌が増えてきており難治性中耳炎や反復性中耳炎の原因となっております。
難治性の場合には通常より多めの抗生物質が必要なこともあります。

鼓膜切開

鼓膜切開とは鼓膜表面を麻酔し、極小のメスで小さな穴をあけて液体を排出する方法で以下のようなときに必要となります。

  • 薬のみでは改善しない強い痛みや高熱がある時
  • 急性の症状は治まったものの中耳に貯留した膿や粘液がなかなか消失しない時
  • 滲出性中耳炎に移行して治りにくい時

切開に伴う痛みは一瞬であり、切った穴が後々まで残ることはまずありません。多くの場合は数日から1週間ほどで自然とふさがります。むしろ鼓膜が閉じた後に再び液体が貯まったときなどは何度か切開が必要になることもあります。
小さなお子さんの鼓膜を切るという表現自体、親御さんには抵抗が大きいことは十分に理解できます。
医師の立場としても小児に恐い思いをさせる手技はその後の治療に支障をきたすこともあり極力避けたいとは思います。しかし、中耳に液体が貯留した状態が続くと難聴や耳がつまる感じを招き、小児はあまり上手に表現できませんが大人であればかなり強い不快感を伴います。液体が消失し中耳が換気されることにより急に聞こえが改善され、機嫌が良くなることも多く経験しています。
やむを得ず鼓膜切開が必要な時にはその旨を説明いたしますのでご理解頂ければ幸いです。

鼓膜切開

監修医師

医院名 医療法人 川村耳鼻咽喉科クリニック
院長名 川村繁樹
資格 医学博士
関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科 特任教授
身体障害者福祉法第15条指定医
川村繁樹